脊髄損傷

脊髄損傷の患者さんのケアって、人手もいるし緊張感がありますよね…。自信をもってケアに当たれるようになりたいです!

いい心がけだね!患者さんの負担を減らすのは重要な治療だよね。チームの一員として、自信をもってケアできるよう、一つずつ見直していこう!

解説記事で学べること!

病態

脊髄とは脳と体をつなぐ「神経の通り道」がどこかで途切れてしまった状態のこと。

脊髄は背骨(脊椎)の中を通る、太い神経の束のこと。ここに傷がつくと、その下にある部分へ運動や感覚の信号が届かなくなるんだ。

だから、損傷した高さ(どの髄節か)や、損傷の程度(完全か不完全か)によって、動かない範囲や感じない範囲が変わってくるんだ。

脊椎はのこと、脊髄は神経のことだよ。脊髄損傷とは神経が損傷すること。だから、重大な障害を引き起こす可能性が高いんだ。

脊髄損傷の原因

脊髄損傷の原因って交通事故が多いですか?

脊椎は外力が加わると、損傷するリスクがあるんだ。ただ、交通事故やスポーツ外傷などの高エネルギー外傷だけが原因ではないよ。とくに高齢者では、転倒や転落といったちょっとした外力が原因となり起こるケースも増えているんだ。

だから、完全に動かなくなる「完全麻痺」よりも、少し動かせたり、感覚が残ったりする不全麻痺の人が多くなっているよ。中にはリハビリで歩けるようになる人もいるんだ。

転倒や転落でも起こってしまうんですか…!?
これは注意しないと!!

損傷の進み方(一次損傷と二次損傷)

脊髄損傷は二段階で進むよ。

まず起こるのが一次損傷だよ。交通事故や転落などの外力で、脊髄が物理的に傷ついた状態のことを指すんだ。骨のずれや骨片・椎間板の飛び出しなどが、神経を直接圧迫してしまい症状が表れるよ。

その後に続くのが二次損傷。これは損傷した部分の周りで出血や炎症、浮腫(むくみ)が起きて、周囲の神経まで次々にダメージが広がっていくことだよ。

この二次損傷が、最初よりも神経障害を悪化させる原因になるんだ。だから、医療現場では「どれだけ早く悪化を止められるか」がとても大事なんだ。

外力で損傷した後にも損傷が進むってことですか?
少しの変化も見逃せませんね…。

症状

脊髄損傷の患者さんはどんな症状がでるんですか?

脊椎損傷でみられる主な障害

脊髄損傷でいちばん特徴的なのは、「損傷した部分より下が動かなくなる・感じなくなる」ことだよ。脊髄は脳と体をつなぐ神経の通り道だから、そこが損なわれると、運動・感覚・自律神経のすべてに影響が出るんだ。

代表的な障害はこの5つ。

  • 運動障害(麻痺)
  • 感覚障害(しびれや感覚の消失)
  • 膀胱直腸障害(排尿・排便のコントロールが難しくなる)
  • 呼吸障害(呼吸筋の麻痺)
  • 自律神経障害(血圧や体温調節がうまくできなくなる)

つまり、体を動かす・感じる・整えるという基本の機能が一気に変わってしまうんだ。そのため、ADL(日常生活動作)にも大きな影響が出るよ。

損傷部位による麻痺の違い

同じ脊髄損傷でも、人によって麻痺の範囲が違うのはどうしてですか?

麻痺の範囲の違いは、“どこの高さで脊髄が傷ついたか”で決まるんだ。

損傷レベル名称麻痺の範囲・特徴
頸髄損傷
(Cervical Cord Injury)
四肢麻痺手足すべてに麻痺。
C3〜C5損傷では呼吸筋も麻痺しやすい。
胸髄損傷
(Thoracic Cord Injury)
対麻痺下半身と体幹に麻痺。
腕の動きは保たれるが、咳が弱くなる。
腰髄・仙髄損傷
(Lumbar/Sacral Cord Injury)
対麻痺(一部)下肢の一部や足に麻痺。
排尿・排便障害を伴うことが多い。

上の方(頸髄)ほど麻痺範囲は広く、呼吸にも影響が出やすいんだ。逆に下の方(腰髄・仙髄)なら、歩行や排泄の障害が中心になるよ。

急性期にみられる主な症状

受傷してすぐの急性期は、体全体の変化にも注意が必要だよ。

呼吸機能の変化

頸髄が損傷すると、呼吸に必要な筋肉(横隔膜・肋間筋など)が動かなくなり、呼吸が浅くなる・咳が弱くなるといった症状が出るんだ。その結果、痰を出しにくくなって無気肺や肺炎を起こしやすくなるよ。


また、副交感神経が優位になって気道分泌が増えるから、気管支痙攣や肺水腫を起こすこともあるんだ。だから呼吸状態の変化は重要な観察ポイントといえるね。

循環動態の変化

脊髄損傷では、交感神経の働きが遮断されて血圧が下がりやすくなるんだ。特に高位頸髄損傷では、低血圧と徐脈(脈が遅い)が起こりやすく、脊髄への血流が不足すると二次損傷を悪化させる原因にもなるよ。

だから、急性期は血圧をMAP85〜90mmHgで維持することが大切。

循環動態の変化に加え、呼吸状態の悪化が進むと、全身の循環が保てなくなり、ショック状態に陥るんだ。この状態を「神経原性ショック」と言うよ。

コラム:混同しやすい「脊髄ショック」「神経原性ショック」

脊椎損傷の当たりだと「脊髄ショック」も出てきた気がする…。
違いを教えてください!

どちらも「ショック」だから間違えやすいよね。
仕組みや意味が違うから区別して覚えておこう。

検査

脊髄損傷の検査は、「損傷の高さ(どの髄節か)」と、
「どのくらい神経が働いているか」を正確に把握することが大切。

急性期の検査

画像検査

外傷を受けた直後は、骨や神経の状態を画像検査をして確認するよ。

検査特徴・目的
X線骨折や脱臼の有無をすばやく確認。
最初のスクリーニングとして使われる。
CT骨折の形や骨片の入り込みを立体的に確認。
手術の判断にも使われる。
MRI神経や靭帯、出血、浮腫などの軟部組織を評価。
脊髄そのものの損傷を詳しく見られる。

電気生理学的検査

脊髄や末梢神経の信号が通っているかを確認する検査。

  • SEP(体性感覚誘発電位):感覚の伝わり具合をみる
  • MEP(運動誘発電位):脳から筋肉への伝達をみる
  • EMG(筋電図)・NCV(神経伝導速度):末梢神経や筋肉の働きを補助的に確認

これらは急性期よりも状態が安定してから行われることが多いけど、残存機能を判断する大事な情報になるよ。

その他の検査

  • 血液検査:炎症、電解質、腎機能などを確認
  • 呼吸機能検査:肺活量(VC)、咳のピークフロー(CPF)などで呼吸筋の働きを評価する。仰臥位で肺活量が著しく下がる場合は、横隔膜麻痺を疑うことも。

回復期の検査

脊椎損傷の回復期になると「どれだけ機能が戻ってきたか」や「どんな動作ができるか」を評価するための検査も行われるよ。

神経学的・重症度評価

  • ISNCSCI(国際標準神経学的分類):損傷レベルと麻痺の程度を評価する国際基準
  • ASIA機能評価(AIS):A~Eの5段階で重症度を分類(A=完全麻痺、E=正常)
  • 改良Frankel分類:肛門周囲の感覚や下肢筋力などを含めた詳細評価

ADL・動作能力評価

  • SCIM(脊髄損傷自立度指標):寝返り・起き上がりなど脊損患者特有の動作を評価
  • FIM(機能的自立度評価)・Barthel Index(BI):ADL全般の自立度を数値化
  • WISCI II・TUGテスト:歩行補助具の使用やバランスを含めた歩行能力評価

これらの評価はすべて行うわけではなく、リハビリの目標設定や退院後の生活プランを考えるときの指標として行われるんだ。回復の経過や自立度を客観的に評価できるから、退院後の生活を具体的にイメージでき、支援につなげられるよ。

治療(急性期~回復期)

脊髄損傷の急性期では、まず命を守ることと、これ以上の神経の損傷を防ぐことが最優先。

急性期の治療

脊椎の安定化と除圧

脊髄損傷は「動かさないようにする」が第一!

体位変換や移動のときは、少しのねじれでも損傷が悪化することがあるから、慎重に「軸を保つ動き」が求められるんだ。

代表的な体位保持・固定法は以下のとおり。

循環管理

呼吸管理

薬物療法

回復期の治療(リハビリテーション)

早期リハビリと運動トレーニング

排尿管理

痙縮・疼痛のコントロール

呼吸理学療法

呼吸器合併症を予防するんだ。

看護(急性期~回復期)

呼吸・循環管理と離床

合併症の予防と対応

教育と社会復帰支援

解説記事で学べること!